夜のお店に必要不可欠な存在である「黒服」。最近では女性の黒服も増えてきましたが、多くは男性です。
ホステスが主役ともいえるクラブやキャバクラで、環境づくりに徹する黒服にも、たくさんの苦労や悩みがあります。
今回は、そんな黒服として長年活躍し、お客様に支持され、自分で店を出すまでに至った男性オーナーに、黒服をはじめたばかりの人に向けてのアドバイスを伺いました。
今回のインタビューのお相手
銀座 Ailes(エール)オーナー店長
10代より銀座で働き始め、今年で銀座歴18年を迎える。
サパークラブで勤めたのち、クラブに黒服として入店。8年間在籍中に、4店舗統括マネージャーとなり、多くのお客様に支持されホステス以上の売上を持つようになる。
2016年より独立、バー「Ailes」をオープン。
お客様に対しての黒服の心得とは?
-今回は、黒服をはじめたての人に向けてのお話を伺います。まず、一番重要なことだとは思いますが、お客様に対しての心得はなんでしょうか?
一番はどんなに忙しいときも、それをお客様の前で顔に出さないことです。
店内が混んでいたり、たまたま黒服の人数が足りなかったり…となると、あわててしまうこともありますが、慣れるまではひたすらここを意識することです。
黒服という仕事柄、ホステスに比べてお客様からぞんざいな扱いを受けたり、理不尽なことを言われやすいのですが、それでも基本は笑顔。
理不尽なことを言われても、割り切って流すことも必要です。必要以上に気にしないことが一番ですね。
どうしてもその場にいることがつらくなったら、一旦トイレに行くなどしてリセットすることをおすすめします。
ただ、筋の通ったことは真摯に受けとめるのはもちろん、「このお客様はこういったことでお怒りになるのだな」などは学習し、次から同じことを繰り返さないよう気をつけます。
また、「お客様のことを否定しない」「基本的にNOを言わない」というのも大切なポイントだと思います。
お客様のことを否定しない、というのは、ホステスでも同じですね。日頃のストレスを発散したくて来ている場なので、肯定的な会話を心がけます。
また、NOを言わないというのは、もちろんできる範囲でのことです。
店のルールを曲げるようなことや、明らかに自分ではできないことを要求された場合は、誠実にお断りします。
ただし、自分に可能な範囲での要求は、とにかく応えられるように尽力します。
初めて黒服として働く人の心得・覚えておいた方がいい基本とは?
- 顔に出さない
- お客様のことを否定しない
- 基本的にNOを言わない
そのほかにも、「視野を広く持つ」ということがとても重要です。
お客様がお呼びでないか、ホステスが困っていないかアンテナを張っておき、呼ばれたらなるべくすぐに応えられるようにしておくことです。
今でも、自分がどこにいても、店内のあらゆる席でどんな会話がされているかなどは、自然に拾っていたりしますね。
黒服として働くときに心得るべき ホステスへの接し方とは?
-黒服が担当ホステスを教育していく制度を取り入れている店もありますよね。ホステスとの関わり方で、意識すべき点はどんなことでしょうか。
理想は、どのホステスも平等に扱うことだとは思います。
けれど、やはり人間ですから、いつも人一倍一生懸命やってくれる子には、やはり目をかけてあげたくはなりますよね。
僕はそうしてしまいがちでしたが、それでその子たちがもっと頑張ってくれるのならば、それでいいかなとは思っていました。
また、ホステスにも本当に色々なタイプの女性がいますから、その子たちに合わせてのびのびやれる環境を作ってあげることは大切です。
自由な子には自由にさせてあげる。
自由なタイプの子には、最低限、指導しなければいけないことや、「もっとこうしてはどうか」というアドバイスは伝えましたが、あまりがんじがらめにしないようにしていました。
人としての相性もあると思いますが、少しでもうまくやれるよう、自分が折れることも必要だと思っています。
店の主役はホステスだということを忘れてはいけません。
彼女たちがなるべく働きやすく、お客様をつかんでいく環境をつくることが黒服の役目です。
逆に、個性は強くはないけれど、どの席でも無難にそつなくこなしてくれる子もお店には必要ですから、そういった子も大切に接するようにします。
-指導にあたって、なにか特に意識したことなどはありますか?
ホステスたちに指導が必要な場合に、彼女たちのモチベーションが下がらないタイミングで言うことは意識していました。
具体的に言うと、たとえば、営業直前や営業中には、なるべく言わないなど。
本人が嫌な気持ちになって、営業中に顔に出てしまっては、仕事に差し支えてしまうので。
なるべく、翌日早めの時間に、メールや電話でやりとりしたり、時間があれば近くの喫茶店で少し話して、モチベーションを下げたまま営業時間に入らないように気をつけていました。
黒服として上を目指すために必要なこととは?
-黒服のなかには、その後昇進したり、店を持ったりということを目標にしている方もいると思います。そういった方が一歩抜きん出ていくために、必要なこととは何でしょうか。
これまでお伝えしてきたことは、僕がこれまで出会ってきた、尊敬できる黒服さんたちや、サパー時代の先輩がたから学んだことです。
「こう在れたら理想だな」とは思っていますが、実際に自分がその通りできていたかというと、そうではないとは思います。
ただ僕の場合は、こういった基本の考え方の上に、自分のカラーは乗せてきたのかもしれません。
もともと目立って前に出るタイプではないのですが、興味を持って声をかけてくださった相手には、その分「最初が肝心」だと思い、人間性で楽しんでもらうようにしてきました。
特に心がけているのは、「マメな連絡」です。
縁あって連絡先を交換したお客様に対しては、来店翌日のお礼メールはもちろんのこと、いただいた連絡には少しでも早いレスポンスを心がけています。
でもこれは、「お客様をつかみたい」という気持ちよりは、やっぱり「自分のことを気にかけてくれるのが嬉しい」という気持ちからだとは思います。
お客様が自分の携帯電話にわざわざ連絡をくださると、やっぱり嬉しいので。
自分から積極的にお客様をつかもうとは思っていなかったのですが、気づいたら、自然とお客様の席に呼ばれ「一緒に飲もう」と言われる機会が増えていました。
-黒服がホステスと同等かそれ以上にお客様から支持される、というのは、どのようにしたら実現していくものなのでしょうか。
ホステスもいつかは店を離れます。引退してしまう人もいれば、他店に移る女性もいます。
そんなときに、多くのお客様は、お目当てのホステスさんについて離れてしまうのですが、黒服である自分に魅力を感じてくれたら、それでも変わらず来店してくれるのです。
今、僕の店に通ってくださるお客様は、そういう風につながったお客様が、圧倒的に多いですね。
男性の黒服の場合、ホステスとは違って、色気でお客様にアプローチするわけにはいきませんが、その分人間的な魅力でつながるので、関係性が長く続いていきます。
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