ホステス・キャバ嬢として慣れてきた頃に、壁に当たるのが「指名していただけるお客様がかぶったとき」です。
うまく来店時間をずらしていただけたら良いのですが、基本的にお客様の都合は、そうはいきません。
しかし、同じ時間帯に3〜4組お客様がかぶっていたとしても、そつなくこなせるホステスもいます。今回はその「コツ」についてお伝えします。
指名がかぶるとお客様が不満に感じてしまう
同じ時間帯にお客様がかぶることによって起こる問題は、とにかく「お客様のご機嫌を損ねかねない」ということでしょう。
時間制ではないクラブなどならまだしも、時間制のキャバクラなどでは、特に不快に思われる可能性が高くなります。
「指名料を払っているのに、短時間しか席についてくれない」とご立腹され、小言を言われることもあるでしょう。不在の間ヘルプでついてくれる女の子へ怒りの矛先が向かうこともあります。
「指名替え=マナー違反」でお客様の不満が倍増する
銀座エリアのお店など、永久指名制を導入しているお店では、指名を替えることはマナー違反とされています。
こういったお店では、お客様が指名を替えたくても替えられない場合が多いため、人気があるホステス相手にほど「あの子は短時間しか席につかないのに」と不満が募ってしまいます。
永久指名制ではないとしても、当然、指名を替えられて気持ちよいホステスはいません。
お客様もすすんで悪者にされたくはありませんから、「同じ店内で指名を替えて雰囲気が悪くなるくらいなら替えない」という思考になりがちです。
しかしこれが、ホステスや店を攻撃してしまう心理につながってしまったり、来店そのものが遠のく原因となってしまったりします。
指名がかぶった時のコツ:周りと連携をとる
一番の方法は、ほかにお客様のお気に入りをつくることです。
ホステスの数が多くないお店であれば、ある程度顔ぶれは決まってくるでしょうし、大箱であっても、こちらからお客様に合いそうな子を付け回すようにお願いしてみましょう。
コツとしては、普段の会話から、ヘルプについてくれる女の子やスタッフのことを会話に織り交ぜ、「その子は〜〜なタイプで、あなたにとっても合うと思う。ぜひ紹介したい」「その子もあなたと話をしたがっています」などと、お客様が興味を持つように興味付けしておくことです。
席を立つ前にヘルプの人と席がかぶるようであれば、その子のことを改めてお客様に、目の前で紹介します。
その子の良いところや、こんなことが話が合うと思う…など、話が弾みそうなことを伝え、話題のきっかけをつくってから席を離れます。
黒服など、男性スタッフを紹介するのもひとつです。
こういった、お客様が「誰がついても楽しい」状態を作りつつ「一番のお目当てはわたし」という状態をつくっておくのがベストです。
ヘルプの女性を立てても指名替えはされない!むしろ「指名替え=マナー違反」の心理を逆手に取る
指名を自由に変えられるタイプのお店でこれをしてしまうと、指名替えされてしまうのではないかと懸念してしまう人もいるかもしれません。
ですが実際には、女性同士の仲が悪いほうが、指名替えのリスクは増します。
「あの子は指名しても席に全然いてくれないけれど、ヘルプのこの子は席にいてくれるし、楽しくていい子だな」とお客様が思ったときに、ヘルプの女性との仲が悪ければ、ヘルプの女性自身も、指名本数を増やすために積極的にお客様に取り入るでしょう。
「◯◯ちゃんがいないときにこっそりお店に来るから、そのとき指名するね」なんてことにもなりかねません。
逆に、女性同士の仲が良ければ、ヘルプの女性も本来の指名の女性を立てるでしょうし、むやみにお客様を奪おうとはしません。
むしろ、指名人数に制限のないお店であれば、「二人一緒に指名してもらえませんか」などと促してくれることもあります。
お客様も、指名替えをするよりは、二人とも指名にしたり、日替わりで指名したり、など配慮してくれるケースが多いでしょう。
競争が激しいと思われがちな指名制の店だからこそ、うまく連携プレーを図ることで、かえってお客様をもてなしながら、しっかりつかんでおくことができます。
またそもそも、どんなに嫌がったとしても、お客様の心変わりは止められません。
あっさり指名替えしてしまうお客様は、そういう性格ですから、この先も指名替えを繰り返します。
たとえ指名替えされたとしても、どっしり構え「お客様のご自由ですから、ゆっくり他の女性のもとで楽しんでいらしてください」と思える女性のもとに、結果的にお客様も返ってくることもあります。
指名がかぶったときのコツ:特別感を出す
また、どんなに忙しいときでも「あなたをすごく大切に思っているんです」という姿勢を見せることも大切です。
すぐ席につけないのであれば、可能であれば一度ご挨拶に伺い「ちょっとだけ待っててくださいね」「早く話したいな」などと伝えておくこともひとつの方法です。
また、席について会話をして、また離れる際には、名残惜しい様子を見せることです。
「えー、まだ席にいたいのに」「早く戻ってきたいなぁ」という言葉を言われて、嫌な気持ちになる男性はいません。
「この席では本当にリラックスできちゃうから、ついつい仕事だって忘れちゃう」と特別感を演出する言葉を使うのも良いでしょう。
この席は特別、ということ、つまり他のお客さまよりも大切に思っているんだ、ということをどれだけ表現できるかです。
お客様がかぶったときのコツ:優先順位をつける
それでも手が回りきらないときに、優先順位をつけて考えることが必要なときもあります。
もちろん、お客様すべてに対し、平等に接したい気持ちはあるでしょうし、自分の好みで「このお客様との時間を長くとりたい」という本音もあるでしょう。
そういう気持ちを一旦おいておき、「普段からいつも自分をたくさん支援してくれる人に長く着く」「今日同伴をしてくれた人に長く着く」など、自分なりの判断基準で、そのタイミングごとの優先順位を冷静につけ、滞在時間を調整していく必要があることもあります。
指名がかぶったら人気があることをステータスだと感じてもらおう
基本的に、自分のお気に入りの女性がモテて嫌な気持ちはしません。
「自分の応援している女性は、こんなにたくさんの人に支持されるステキな女性なんだ」というのは、男性にとってステータスとなります。
昔からの付き合いならなおのこと、「自分がここまで育てた」と思ってももらえるでしょう。
そこをうまく引き出し、席に着く時間が短くても「いってらっしゃい」と快く送り出してもらえるかどうかは、ホステスの腕次第です。